Never Remove Kebab †
目標: 特になし。AoWの紹介。最近見ないオスマンAARを書いて新規さんの参考になればと。 登場(しない)人物 †言わずと知れた赤い公子 模範的トゥルク人 第0話 †1853年 春 「はい、何ですか、どちら様ですか」 中年の女性の、疲れを隠した声だ。青年は少し背筋を伸ばした。 「アドニスと申します。ええと、ここドリスさんのお宅ですよね?」 「アドニス... ええ、アドニスですって!なんということでしょう!お入りなさい」 扉が開き、思っていたよりも小柄で細身の女性が姿を見せた。40半ばと聞いていたが、それよりも老けて見えた。 「失礼します...」 あまり綺麗でない家。不思議な匂いだった。すぐにでも、体に吸い付きそうな匂い。不快感は感じなかった。 「みんな、アドニスが帰ってきたわ。20年振りよね、こんなに立派になっているなんて。アドニスは明日の昼にはもう出立しなければならないのよね?そう手紙に書いてあったわ。豪華な夕食を容易しないとね」 騒ぎは終わり、夜の帳が下りた頃、彼は老人に呼ばれた。彼にとって寝るには早い時間であったので、老人の相手でも大歓迎だった。 「アドニスよ、儂が君に会えるのも恐らくこれで最初で最後だ。どうか、この哀れな爺の話に付き合ってくれんか?」 老人の体の状態を推測して彼は肯定し、老人は話し始めた。 「君は、明日から戦争に行くのだろう?では、君はなぜ戦いにいくのかね?」 幼いころに徴収されてから戦うために育てられた彼には答えはなかった。"Our duty is not to reason why, ours but to do and die." 最近学び始めたイギリス語で彼はそんなことを思った。 「全く最近の若者は。どうせ君は歴史も知らんだろう?歴史を学ばないものは現在にたいしても盲目になるぞ。ここは少し、爺に一つぐらい祖父らしいことをさせてくれ。死ぬ前にな」 老人はそういって笑い、彼も笑い返した。他にどう返せばいいのか分からなかったのだ。 「我らの国の歴史は遡れば遠い草原にまで遡る。しかし、我々ギリシア人にはそれは関係のない話だ。そうだね、じゃあ最も偉大なスルタンの1人である、メフメト2世から始めようか。かの有名な"ファーティフ(征服者)"のあだ名くらいは聞いたことがあるだろう?」 目次 †第1話 メフメト2世 Fatih †第2話 メフメト1世&ムスタファ1世 †第3話 16世紀後半~17世紀前半 †コメント †
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